Transparent(透明)

ソフトウェア開発とソフトウェアによるデザインをメインテーマとし、さらにテクノロジーや社会問題についても日々の思いを綴りたいと思います。

Microsoftのダメな5つの事項(前編)

私もこの業界に30年近く携わってきましたが、初めの20年はMSの強大な力に反感を抱いていました。しかし時代は変わり、GoogleAppleの優位が目立つようになり、最近ではむしろ応援しているとさえ言えます。なんと言っても我々の手に手ごろな価格のPCを届けてくれたのはMSの功績が大きいからです。

にもかかわらず、MSはライバルに比べると、事あるごとにアンビリーバボーな失策を犯して、私を失望させてくれます。ここではこれまでにあった「なんでそうなるの?」を5つ示したいと思います。

1.ユーザの作業よりセキュリティを優先するをWindows Update

セキュリティやバグフィックスがOSにとって大切であることに異論はありませんが、PCは何のためにあるかということを考えると、それはそれを使って仕事などの作業をするためです。それなのにです、さっさと書類を作成しようとPCの電源をONしたと途端に、Windows Updateが走っていつまでたっても作業ができない信じがたい状況に陥ることがあります。また、大切な書類を作成しているのに「Windowsを再起動します!」といったメッセージを画面に表示したりすることもありますが、これって非常識すぎませんか。ユーザの作業やデータよりOSをアップデートすることの方が重要だとMSは思っているのではないでしょうか。

もちろんオプションでWin10以外はWindows Updateを走らないようにすることもできますが、デフォルトは強制アップデートです。MacOSではこんな強引なやり方はしてません。Updateの際は必ずユーザに聞いてきます。

2.Windows 8での唐突なUIの変更

これは記憶に新しいところだと思います。Windows 8.0ではWindows 7までのデスクトップで慣れ親しんでいたUIが変更され、モダンUI(メトロ)なるデスクトップ画面が標準となりました。このUIではタッチパネルを前提にしたタイル状の大きいアイコンが基本デザインとして利用されています。また、これまで操作の起点となっていたタスクバー左端にあるスタートメニューも廃止されました。おそらくデザイン的にタッチパネルを前提としているので、スタートメニューは指で操作するのは厳しいのでそのような選択になったのかも知れません。

しかし、案の定このMSの決定は裏目に出ました。あまりの性急なUIの変更にユーザーは戸惑い、非難し、Windows 8.0の売れ行きは芳しいものではありませんでした。そのためMSは、スタートメニューを部分的に取り入れたWindows 8.1をリリースせざるを得ず、現行のWindows 10ではスタートメニューを完全復活させる羽目になっています。

GoogleAppleにモバイルOSで差を広げられているMSにしてみれば、Windowsをモバイル向けにするために上記のような必要性に迫られたことは十分理解できますが、UIの大幅な変更はこれまでのユーザーの不評を買うことは容易に想像ができます。ここでも自分たちの都合を優先しすぎるMSの体質が見え隠れします。PCに関してユーザーにとって一番大切なことは、これまで通り効率よく作業をできることです。新しいOSをリリースすることで新機能を追加するという意味はあるでしょう。しかしこれまでの使い勝手が大幅に損なわれては、本末転倒です。UIの変更は慎重に行われるべきものです。

もし、Windows 8.0にWindows 7の互換モードがあって、これまでの操作感を変えたくない場合は、クラシックモード(Windows 7互換)にできるようにしておけばあれほどの批判を受けることはなかったと思います。Windows 8.0のときは、モダンUIのアプリは全画面モードで動作し、アプリを終了させる方法を見つけるのにも一苦労したほどです。みんな怒りますよね。ほんと理解不能でした。

3.Ctrl+Alt+Delをいつまで使わせるのか

Windows 8からは使用しなくてもよくなったと思いますが、Windows 7まではドメインに接続されたProfessional以上のWindowsではログインするときにCtrl+Alt+Delの3つのキーを同時に押さなければなりませんでした。MS-DOSではこのキーの組み合わせでOSがリブートしてしまいます。

MacOSにも似たようなキーの組み合わせがありますが、通常のオペレーションでこの操作をすることはありません。しかしWindowsではCtrl+Alt+Delを使用頻度の高い重要な操作として最近まで使わせてきました。このコマンドはIBM PCのハードに起源を持つようで、そのような機能が隠し機能として残っていることはそんなに驚くことではありませんし、エンジニアやハッカーが隠しコマンドのショートカットとして使っていると言うなら何も違和感はありません。しかし、今の時代、PCはエンジニアだけでなく誰でもが使うツールです。小学生の授業でも使用されています。そういう人たちにCtrl+Alt+DelさせるというのはやはりMSは空気が読めていないとしか言えないと思います。

一般の人たちは、この呪文のようなCtrl+Alt+Delを押すことを一体どのように感じているのでしょうか。